<峰岸制作公開>2月22日(水)Aクラス 15


こんにちは。今回の冒頭文を担当致します、Aクラス19期の村松真砂子です。
2月22日水曜日は、峰岸先生のお怪我のため延期されていた制作実演日でした。
画題は16期山下晶代さんの精勤賞のためのポートレイト。
今回の制作実演は、下絵を描き始めるところからの実制作です。
まず普通のA4コピー用紙の上にマット(作品と共に贈って下さるもの)を置き、マットの窓の四辺を鉛筆で紙に写してから、その3mm程外側に三角定規を用いて四辺を記します。
そしていよいよ、愛車のバイクの前に立つ山下さん、という構図で描き始められました。人物一人を描く時は、顔を絵の中心に配して描かれることが多いそうです。またモデルに顔が似るポイントの一つが顎の長さなので、今回のように口から描き始めることもあるそうです。
テーブルを挟み先生に対面して座る山下さん。山下さんとバイクとが異なる構図で写った2枚の資料写真。それらを交互に見ながら、まずは山下さんの顔の輪郭、そして少し肩の張ったスタイルのバイクウエアの上半身、ヘルメット、バイクと描写が進みます。
使っているのはB4の国産鉛筆。「メーカーによって同じB4でも濃さが異なるよ」とのこと。時々消しゴムも使われます。
「実はバイクなどの機械を描くのが苦手です」などとお話されつつ、バイクも実にシンプルな線で描かれていきます。
右肩上には、おなじみMJバードも一羽、描き加えられます。
下絵がほぼ出来たところで、本画用にはマルマン スケッチブック 図案シリーズ 画用紙のB5サイズ?を1枚。
テーブル上には、ライトテーブル、筆洗(※1)、細めの筆数本、絵の具3色(※2)と白のビン入りポスターカラー、筆拭き用の布、ドライヤーなどが置かれていました。
先程の下絵と画用紙をライトテーブル上に重ねて置き、ベタ塗りとなる部分のみ外側のアタリ線に沿ってマスキングテープを貼ります。
彩色はガッシュ黒色から始めます。このときは細筆2号、アクリル毛のものをご使用です。ウエアなどの黒ベタ塗り部分では、全部を塗り込めるのではなく、良い質感を出す為に必要な、ある程度のかすれ具合を探りつつ塗っていかれるそうです。その為にも細い筆が適している、とのことです。「顔を描く前に腕慣らしとして服などから描いていきます」「そろそろ顔に行こうかな…」などと話されつつ制作が進みます。
「今回の作品は線画メインでバイクの黄色をアクセントとしたい」「下絵より彩色の方が早いよ」などと話されるうち、山下さんの姿がくっきりと現れてきました。
時々、白のポスターカラーで修正し、線を描き直されることもありました。描いた部分の絵具の擦れを防ぐために、まめにドライヤーで絵の具を乾かしながら丁寧に彩色を進め、山下さんの唇とMJバードに赤が入ると、画面が一気に、生き生きとした感じになりました。
さて、御持参のA4ライトテーブルには、先生オリジナルの仕掛けがありました。それは、テーブル面のアクリル板が本体に止めてある4つのビスのうち、左右上2ヵ所のビスに各々取り付けた10cm幅程の厚紙。これら厚紙がビスを要に回転し、今回のような小さめの画面を描く時には、テーブルの左右の幅を厚紙で遮ることで光源が目に入らないようにする為の工夫でした。
光源については、ご自宅では左手側からZライトでその都度、調光しつつ描かれるとのことですが、今日は、会場である明日館の部屋のライティングが暗めの為、とても描きにくいとのことでした。
先生は昔から絵の実制作を見ることがお好きだそうです。「今度は誰か、MJ生の実演を見てみたいねえ~~~」とも…。
光の違いで画面が見難い上に、みんなの熱い視線による緊張感…。時間も迫り「山下さんのお顔は自宅で描きなおします!」とのことでした。
これまでは彩色の段階からの制作見学でしたが、今回はゼロからどのように描き進めていかれるのか…?! とても、興味深い授業でした。
峰岸先生、ありがとうございました。
なお、入学検討中の見学者の方が3名あり、実演後、先生が3人の方のファイル講評をされました。

※1:ホーロー製、丸く切ったリノリウム板に彫刻刀で線を刻んだものが底に沈めてあり、筆がその波型でしっかり洗える。
※2:黒、赤、黄。黒はガッシュ、赤と黄はアクリルガッシュ。

 

 

 

  

 

 


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15 thoughts on “<峰岸制作公開>2月22日(水)Aクラス

  • Reply
    山下 晶代

    今回のモデルです。名前が連呼されてしまってちょっと照れちゃう(笑)
    学生の頃までは自画像を描く機会がわりとあって、そのたびに「自分ってつかみどころのない顔だなあ」と思ってました。
    なので、顔が描かれたときの「わたしだ!」という驚きと感動は言い表せません。
    実は「バイクなくてもいいです」とお伝えしていたのですが、入れてくださるということで申し訳ないやら嬉しいやら。
    これがまた「苦手だ」とかおっしゃいながら、しかもあれだけしか入れてない(むしろ描かれなかった部分に特徴のあるバイクなのに・・・)のに、描かれると「ウチの子だ」となるマジック。
    先生のすごさを目の当たりにする授業で、自分がモデルだなんて本当に光栄でした。ありがとうございました!

  • Reply
    東久世

    今回は前回無かったライトテーブルなども加わり、より大荷物の先生!
    そんなお姿にありがたやーと、心の中でなむなむしてしまいました。ありがとうございます。
    腕慣らしが必要だったり、あー失敗した~となったり、大ベテランでもそういう事があるんだと思いました。
    筆洗底にあるリノリウム板をよく見たら、めちゃくちゃ年季が入ってました。
    あー先生はずっと絵を描いて暮らしてるんだなぁと、変な所から感心してしまいました。

  • Reply
    坂内拓

    大勢の視線の中でも、淡々と仕上がる山下さんの絵。
    どれだけ描けばこの安定感が手に入るんでしょうか。。
    何度見ても(見る側は)楽しい授業です。
    山下さんのバイク好きな面も知れて、妙に納得したり笑
    ありがとうございました!

  • Reply
    岸あずみ

    この日はいけなかったので村松さんのレポートありがたいです!先生の技がたくさん詰まった授業だったんですね、じっくり読んでます。写真もなんだかとてもいいですね、みたかったです〜!

  • Reply
    しんやゆう子

    OGなのに授業を見学させていただき、ありがとうございました。
    1人で描いていると、イラストレーションって何だろう?とか、難しく考えてしまって手が動かなくなったり、迷ったりもするのですが、明日館で、峰岸先生の熟練ながら人間味あふれる制作を見させていただいて、心がすーっと落ち着きました。ありがとうございました。

  • Reply
    原 倫子

    先生、制作公開ありがとうございました。荷物重いんだろうなあって毎度思います。
    下描きからの実演は初めて見ました。なるほどそこから形を決めちゃうんだー、とか発見が色々で参考になりました。
    「あごの長さはけっこう重要」肝に命じます。
    モデルの山下さんが終始にこにこしていて、なんかほっこりしました。
    バイクとか乗れたら楽しいだろうなー。

    • Reply
      山下 晶代

      「あごの長さ」そうかそこか!!と私も眼からウロコでした。
      あれは、目の前で自分が描かれていくのが楽しくて、ニヤニヤしていた顔ですヨー。

  • Reply
    徳重千里

    峰岸先生、どうもありがとうございました!
    重たいライトテーブルまで、ご持参くださって。
    そして、漫談のような楽しいトーク付で、
    贅沢な時間となりました。

    山下さん、完成たのしみですね~♪

  • Reply
    門脇久美子

    みんなに注目されながら、話もしながら、山下さんに似せながらで、つくづく凄い先生だあと思いました。今回も楽しく、そして勉強になりました。峰岸先生本当にありがとうございます。

  • Reply
    橋本裕子

    顎の長さ! なるほど・・・
    シンプルな線の似顔絵、すごいなあ・・・と毎回思います。
    ありがとうございました!

    今月のイラストレーション、スプリングコート姿の利発そうな女性。草むらの花はたんぽぽかな、バターカップかな。
    素敵です♪

  • Reply
    長光雅世

    まっさらなところからの制作ははじめて拝見したので、とても勉強になりました。
    二時間弱でこんなそっくりに描いてしまう先生、あらためて凄さを実感しています。しかも、しゃべりながら、みんなに見つめられながら。。
    さらっと描いてる風なのに洒落てて、山下さん、いいなぁーって思いました。
    先生、ありがとうございました!

  • Reply
    サカガミタケシ

    コメント遅れましたが、強烈な印象が今も残っています。
    鉛筆の下描きのときは「これがあの先生の似顔絵イラストレーションになるのかなー」などと思っていたのですが、絵の具が入ると、いつの間にか「あのイラストレーション」が目の前に。
    バイクのややこしい部分のディフォルメとか、たった3色がそれぞれ映えていたりと、マジックを見た思いです。似顔絵は目が決定的なのかなとも思いました。

  • Reply
    藤岡詩織

    人が描いてるところって本当に勉強になるし何より楽しいです。録画したいですね。
    先生はこの授業、大荷物になってしまって本当にありがたいやら申し訳ないやら・・・
    先生も言ってましたが他のmj生の制作過程も見れたら面白いですね!

  • Reply
    鹿又

    本当に先生の描いているところを見るのは面白い。
    MJに入って一番見たかった授業。幸せ。
    とにかく天才なんです、先生は。おしゃべりの。
    こんなに喋ってていいのかしら?からの完成。
    素晴らしいエンターテイメントでした。
    ありがとうございました。