和田尚久(19期・A)が「森卓也のコラム・クロニクル」の編纂と装画を! 30


 私は高校生のころから映画評論家・森卓也氏の文章を愛読してきました。
2002年に私の担当していたラジオ番組にゲストとしてお招きし
そこから交際が はじまりました。

森卓也さんは1978年に「アニメーションのギャグ世界」という
漫画映画を論じた名著を出されているのですが、
版元(奇想天外社)が倒産したこともあり、なが らく絶版になっていました。
そこで私が企画し、09年に復刊をしました。
amazonサイトへ
(装丁デザインは平野甲賀さんです)
この本は、ふたたび世の中の漫画映画ファン、ギャグ愛好家に読まれることにな

りました。

さて。
森卓也氏は79年から09年までの丸三十年間、
中日新聞のエンタテインメントを題材としたコラムを連載されていました。
これを本にしたいという意志が著者にあり、
その企画も浮き沈みしていたのですが、実現していませんでした。
森さんから何かの折に相談をされ、わたしは編者 としてかかわりたいと申し出ました。
これがなんだかんだで5、6年前になります。
(このあたりの経緯は6月22日発売の「フリースタイル」という雑誌に書きます)

編集作業が終わり、装丁をどうしようというはなしになったのですが、いくつか
の案があったなか、版元とも相談のうえ、編者であるわたしが装画を描いてみる
ことに決めました。
自分で装画を描いてみたいと思ったのは、内容イメージを正確に伝えたいと考え
たからです。この本は、へたすると「ノスタルジー的時評集」と受け止められる
可能性があるのですが、そうではなく、いま現在へのアクチュアリティがあることを装丁
からも伝えたいと意図しました。

私は書籍内容からイメージした3枚の絵を描きました。

イメージしたのは「スクラップブック」です。さまざなま話題、モチーフが
貼り混ぜになっている感じです。そしてはなやかさ。
そして、色々に貼り混ぜになったものが「層」をなしているように
出来ないかと考えて、アクリルを乗せたあとで色を落としたり、
わざとはがしたり・・・と試行錯誤してみました。
そういう抽象的なアクリル画を二枚描きました。

それと別に、水彩で「チケット」の絵を描きました。
これも書籍内容が「映画」「演劇」「落語」などに関するものだからです。

この三枚の絵をデザイナーの高麗隆彦氏が構成してくださいました
ベースの抽象画(黄色の画像)とチケットの絵は本来別々なの
ですが、それをパソコン上で「二重写し」にしています。
(わたしは三枚の絵のうちのどれかが使われると思っていたので、この
パソコン上の「重ね合わせ」には驚きました)

ベースの色彩は気に入っていますが、チケットのほうは自分ではあらが
目について、冷静な判断ができません。どのように見えるでしょうか・・・。

和田尚久(19期・A)

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森卓也のコラム・クロニクル 1979-2009

著者:森卓也
編者:和田尚久
価格:予価6800円+税
版元:株式会社 トランスビュー

装画 和田尚久
装丁 高麗隆彦

https://takuyamori2016.tumblr.com/

内容。映画評論家の森卓也が79年〜09年に発表したコラムの集成。
話題は映画、落語、アニメーション、演劇、テレビ、笑い、書籍などなど。
コラムの総数1643本!
(笑いに関して興味のあるひとは必読です!)

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R0027225裏側

 


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30 thoughts on “和田尚久(19期・A)が「森卓也のコラム・クロニクル」の編纂と装画を!

  • Reply
    安藤彰利

    すげ〜!
    和田さんすげ〜よ!

    チケット、僕にはいい感じに見えます!
    かっこいい装画だと思います。

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます!
      色は、私は黄色系、ベージュ系・・・暖色が好きです。
      ベースの色はその感じが出せたかな・・・と思ったり。
      おしゃれというのは嬉しい言葉です!

  • Reply
    木原まさやす

    おお、これは、一度入るとなかなか出てこれそうな、おいしい迷宮みたい。そこへのチケットですね。

  • Reply
    門脇久美子

    ふふふ。和田さん
    図書館でリクエストしましたからね
    届いたと連絡がありましたので、受け取るのが楽しみですよ〜
    装丁カッコいいと思います!

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます!
      高価な本ですので、買ってくださいとは言いにくい面もあり、図書館の購入希望制度をぜひ利用して
      いただきたいと思います。
      とても嬉しいお言葉です!

  • Reply
    東久世

    昔からのファンである方と、こうやって係りをたぐりよせていく和田さんのパワーが素敵すぎます。
    編纂という言葉と大変さも教えてもらいました!
    それで絵も描けちゃうんだから、、もう無敵すぎます><
    かっこいいです~~

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます!
      編纂って、まあ平たく言えば編集ですけどね。編纂っていうほうが立派?かも。
      そうなんです。まさに「たぐりよせた」っていう感じです。高校生のときの自分にいったら
      驚くかもしれません。
      私は著者と38歳違いなんですよ。だからまさに追いかけたという実感があります。

    • Reply
      和田尚久

      いつもありがとうございます!
      ぜひ感想を伺いたいです。
      「笑い」に興味のあるひとは必読の一冊・・・だと手前みそですが思います!

  • Reply
    安楽岡美穂

    素敵な装画ですね。
    しかも昔から好きだった方の著書の編集と装画を手がけることができたなんて、こんなに幸せなことはないですよね。
    装画の構想も素晴らしくて、なるほど〜!と思いました。
    峰岸先生から和田さんはラジオの放送作家もされていると聞き、ラジオ大好きなものとしては、そちらも興味深いです。

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます!
      この本の編纂にはずいぶん時間がかかりまして、その内容には深くコミットしたつもりです。
      で、自分の考えを装丁にも反映したく、装画を描きました。

      わたしはキャリアとしては活字分野よりもラジオの構成者のほうが長いです。
      またリスナーとしてもラジオ大好きです。
      そんなお話しもできればさいわいです!

  • Reply
    石橋 澄

    和田さん、前にチラシ(というかハガキ)で見せていただきましたが、とてもいい装画だと思います!
    古いようなモダンなような、布のような紙のような、重そうだけど明るそう、みたいな 笑
    味のあるテクスチャですよね。チケットもすごく合っていると思います!

    1冊の本を作り大変さは少しだけ垣間見ているつもりです。こーんな立派な本の編集、気が遠くなります。
    よくがんばりましたで賞!!!! 私も読みたいです!

    • Reply
      和田尚久

      石橋さん
      ありがとうございます。そのとおりで・・・アクリル画はキャンバスですが、わざと生地目をみせて、
      布の感触を出したつもりです。
      デザインの高麗隆彦氏からは、「ヨーロッパの町に貼ってあるポスターの剥がれた壁面」みたいな
      イメージを受け取ったと言われました。
      まさにモダンな線をねらったので、有難いです。

  • Reply
    加藤佳代子

    雰囲気のある本に仕上がっていますね!
    デザインっぽい中にも懐かしさがあって、上部の羽が高級な感じ。
    実物を見てみたいですが高い・・・私も図書館で予約組です。

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます。
      ベースの絵は私の作で、本のタイトル、全体の構成はデザイナーという共同作業でした。
      高価な本なので、図書館でお借り頂ければ有難いです。
      わたしは「背表紙」の配色が気に入っています。

  • Reply
    小笠原まりえ

    和田さん
    おめでとうございます!!
    オシャレな本ですねー!!洋書みたい…!
    この色合いとても好きです!

    • Reply
      和田尚久

      洋書みたいって言うのは大変嬉しい言葉です!
      私は暖色系の色が好きで、黄色、クリーム色をよく使います。
      実物を見ていただければありがたいです・・・!

  • Reply
    徳重千里

    和田さん、おめでとうございます!

    ご自身で編集、装画をマルチにできてしまうなんてスゴすぎますね。

    竹中直人のテレビデイズ、行きました。
    つまみ読みさせていただいただけですが、
    内容、ほとんど忘れています >_<

    索引が、また、スゴイ~。
    守備範囲、どこまででしょう?

    そして、イッセー尾形と森田雄三、も気になります…

    • Reply
      和田尚久

      はい、内容がまず面白い本だと思います。
      手前味噌ですが・・・。
      「ジャンル分け」が関係ない本なので、そこを装丁にも表現したいと
      考えました・・・。

  • Reply
    坂内拓

    和田さん、無敵すぎ!おめでとうございます。
    チケットのイラストレーションが、とても効いてるきがします。
    スクラップブックの「層」を感じる質感から、
    いろんな物語を想像できそうな香りが漂ってます。

    • Reply
      和田尚久

      チケットのイラストは使われると思っていなかったので、はじめアラが(自分には)
      見えてどうも・・・と思ったのですが、今はよかったかなと思っています。
      チケットは私の手元にあった実物をモチーフにしています。
      ありがたいです!

  • Reply
    長光雅世

    和田さん、すごいです!
    高校生のころから愛読、そして交流がはじまって、そして編纂だけでなく装画までって、長い時間と和田さんにしか出来ないお仕事に感動しました。
    チケット素敵です〜

    • Reply
      和田尚久

      ありがとうございます。
      今回の仕事に関しては、内容面から先に関わったのが(装丁にも反映でき)良かったかなと
      思っています。
      とても嬉しいです!!